年上の部下を指導するには?扱い方に悩む30代部長の悩み
扱いづらい年上の部下に対してどう接するべき?
- 注目ポイントは発言内容以外にも!しぐさや声などの「非言語」を見る
- 部下の見方を変えると、今まで気付けなかった長所がわかる
- 誤った思い込みに気付いてもらう、デキる上司の質問術


年上の部下が多い会社でうまく立ち回るのが大変…
部長職についた直後の壁は年上部下の対応
38歳のAさんは中途採用で入社後、わずか1年で部長への昇進を果たしました。
喜ぶのもつかの間、老舗企業だったこともあり年上の部下の上で働くことになり、人間関係で悩む日々が続いたそう。
嫌がらせを受けることもありました。また改善してほしい点を伝えても、聞き耳を持たない年上部下にAさんは頭を抱えることになります。なかでも対応に困った年上部下の数は7名。それぞれに性格が異なる社員たちでした。
指導しても響かない!
年上部下の反論に悩むAさん
年上の部下であっても、改善すべき点があればAさんは指導します。
しかし年上の部下たちはさまざまな言い訳で、Aさんに反論するばかり。出世欲のない部下からは悪びれもせずに「ラクして給料をもらいたい」、ハラスメントが原因で何度か左遷されている部下からは「上司とか部下とか関係なく、ガマンできなかったら手加減しない」と言われたこともあります。
「会社に必要とされていない」…と消極的な姿勢から、業務の改善を投げ出す部下も。すぐには年上の部下とうまく接することができませんでした。
年下の武器を使いながらうまく立ち回ることに
Aさんはいくつかの対応策を考え、実行してみました。まずは「誰にでも公平な接し方」をすること。
部下の中にはやりにくさを感じる人もいれば、接しやすい人もいます。しかしAさんは接し方を統一するために全員を「さん付け」で呼び、自分自身のことは役職ではなくAさん」と呼んでもらうことにしました。
時には年上の部下の前で謙虚に振る舞い、部下たちの「頼られたい」という親分肌を刺激。環境の変化を恐れる部下や、やりがいを求める部下どちらのニーズにも応えるようにうまく立ち回りました。
なんとか解決に近づいたけど…
苦労の多さにAさんはヘトヘト
Aさんが日々試行錯誤することによって、部下たちとはなんとか仕事を共に進めていくことができるように。
しかし年上の部下は7名もいたため、それぞれに個性が違いうまく立ち回るのは大変でした。
自分なりの対応策を講じるまでには時間もかかり、時には「相手がやめるのが先か、自分がやめるのが先か…」と思うこともあったそう。
仕事ぶりを認められるにつれてマイナスの感情をぶつけてくる年下の部下は減っていきましたが、今でもゼロではないようです。
コミュニケーションは部下をよく見ることからスタート
複雑な上司・部下の関係も基本は信頼関係にアリ!
残念なことに、上司が自分よりも年下だと複雑な心境になり、素直に話を聞けなくなる人も少なくありません。
「上司とは良好な関係でいたい」と思う反面、無意識に年下の上司の発言に耳を塞いでしまうのです。
年上の部下と円滑なコミュニケーションを行うには、信頼関係を築くことからはじめましょう。
NLPでは「ラポール」と呼んでいる信頼関係。共に過ごした長い年月によって生まれるものとは違い「この人とは話しやすい!」と思った時に生まれるものです。
ラポールを築くためには、まずは「キャリブレーション」と呼ばれる相手の観察からはじめます。
指導やアドバイスを行っている時に、自分が発する言葉そのもの以上に、「非言語」と呼ばれる、部下の姿勢や手足の動き、表情、声のトーンをさり気なく意識することが大切です。
ジロジロ見てしまうと相手が威圧感を覚えるので、さり気なく行うのがポイント。
声が低い、机の上で手を組んでいるなどがわかったら、自分も近づけてみると、相手は無意識の内に親近感を感じて心の距離を縮めることができます。
部下の見方を変えてみると印象が変わる
Aさんは年下の部下について「出世欲がない」「ハラスメントが多い」というイメージを持っています。どちらもネガティブなイメージです。もしかすると、Aさんのこの印象は部下たちの一部分しか見ていない「思い込み」なのかもしれません。
そりの合わない相手ともうまく付き合っていくためのNLPのスキルに「リフレーミング」という、考え方を変えるものがあります。人は他人を何らかのフィルターを通して評価し、自分なりのフレームに嵌めこんでしまうもの。このフレームを変えることで、同じ人の評価をガラッと変えるスキルです。
例えば「扱い方が難しい」というフィルターで見ている年下の部下を「良い人」というフィルターで見てみましょう。
それまでAさんの目には出世欲がないように映っていた人は「効率的」「要領がいい」などの良さが見えてくるかもしれません。
今まで気付かなかった一面に気付くとその人に興味が持てるようになり、以前と比べて明るく声をかけられるように。NLPを習得することで、部下の性格や個性をさまざまな角度から見られるようになるのです。
年上の部下の言動はネガティブな思い込みが原因かも?
部下を縛る思い込みから解放させる
自分より年下であるAさんの話に耳を傾けない年上の部下は「ビリーフ」と呼ばれる、自分なりの物事の捉え方や見方を持っています。
「年下の社員に追い抜かれるくらいに、自分は仕事ができない」あるいは「たまたま結果を出しただけで、年下の部下なんて役に立たない」など、現在の状況をネガティブなビリーフで見ているのかもしれません。
自分の可能性を狭めてしまう原因にもなるビリーフ。仕事を進めるうえで課題となっている場合、取り除く必要があります。
ビリーブを取り除くには、効果的な質問を行うと良いでしょう。
「会社に必要とされていない」と自信をなくしている部下には「誰がそんなことを言ったのですか?」と質問することで、事実とは異なる思い込みであることを伝えます。
また失敗を恐れている様子があれば「あなたの考える成功とは?」「成功した時にはどのようになると思いますか?」と、失敗ではなく成功に目を向けるような質問をするのも、ビリーフを外すために効果的です。
共に働く部下がビリーフから外れて自由になった時、前向きに考えられるようになり、上司の立場から感じていた「扱いにくさ」が軽減されるでしょう。
情報の欠落を補って
部下の考えを前向きにする
やる気や自信のない部下に対しては、効果的な質問を行うことで相手の考え方を良い方向へ導く必要があります。
その場合、正論だけで畳みかけてしまうと、自分よりも人生経験の豊富な年上の部下には逆効果になる可能性が。
NLPのスキルのひとつ「メタ・モデル」を使いながら、部下が明るい未来や前へと視線を向けられるような賢い質問の仕方を意識しましょう。
メタ・モデルは、部下の考え方に見られる欠落した部分を埋め合わせるコミュニケーション方法。
「欠落」とは、メタ・モデルの中で一般化・歪曲・省略の3つに分けられます。
一般化とは、「みんなが~」「普通は~」と、数人の意見や数回の経験を多くの事象と共通しているように感じてしまうこと。
歪曲は真実の一部が歪められること、省略は話の一部分だけが強く印象付けられ、他の情報があいまいになることです。
部下が会話の中で「皆さんの迷惑になる」と一般化された発言をした時には「何人かにそう言われたのですか?」と聞くことによって、思い込みであることに気付いてもらうことができます。
年上の部下の場合、これまでにさまざまな経験をしてきた分、たくさんの思い込みにより仕事にやりにくさを感じているのかもしれません。
上司として良い方向に向かうよう、サポートしてあげましょう。
しかしメタ・モデルは「あなたの考えは間違っている!」と指摘するものではありません。あくまでも、部下自身に気付いてもらうためのヒントとして投げかけてください。
ネットや書籍だけでは
実践できない職場に役立つNLP講座の選び方


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