叱り方のせい?部下が仕事への熱意を失ってしまった
原因は叱り方?
キツく怒鳴ってから部下が言うことを聞かなくなった
- 「怒る」と「叱る」は違う! NLPで望ましい状態になるには
- 瞬時に冷静さを取り戻す「アンカリング」
- 叱ったことを部下の成長に繋げるポイントはラポール(信頼関係)


部下の今後を思って叱ったら…怒鳴ってから関係が悪化
部下には鞭多めのスタイルで指導するAさん
10歳年の離れた女性の部下Bさんに、毎日厳しくも温かく指導していたAさん。
Bさんは2年前まで別の部署に在籍しており、誰からも愛されるようなかわいい見た目と性格のおかげでミスをしてもこれまでは叱られずにいました。
Bさん自身も甘やかされてきたことを自覚しており、「成長したいから、ちゃんと叱ってほしい」とAさんに話すことも。そこで同じ部署になったことをきっかけに、AさんはBさんに厳しく指導することにしました。
納期が近づく中ペースが上がらない後輩に
内心不安を感じる
最初は叱られることが新鮮だったのか、へこたれることなくAさんについてきてくれたBさん。
しかし社会人としての意識はあまり育たず、いつまでの学生気分が抜けないままでした。
ある時、Bさんの持っている仕事が納期直前になっても終わりそうな気配がなく、「納期に間に合わないのでは?」とAさんは不安を感じるように。
案の定納期直前になって「間に合いません」という報告を受けた時に、Aさんは「なぜ事前に手を打たなかったのか」と厳しく指摘しながら、仕事を巻き取ろうとしました。
「ここが叱り時だろう」
後輩の言動にAさんの怒りが爆発!
その日は、Aさんが以前から楽しみにしていた飲み会の日だと知っていたBさん。
「私の仕事ですから!飲み会に行ってください」とAさんが仕事を巻き取ろうとするのを遮ることに、Aさんはプロ意識が足りないと怒りを覚えました。「仕事が終わっていないのに投げ出せるわけないだろう!」と、大きな声で叱るAさん。ここが叱り時だと思っての行動でした。
しかしBさんの表情がみるみる暗くなり、口数が減少。仕事自体は納期を過ぎたものの、Aさんも協力したおかげでその日の内に終えることができました。しかし大声で怒鳴ったことをきっかけに、AさんとBさんの関係は悪い方向へ…。
叱ってからは後輩とのコミュニケーションが困難に
翌日から、BさんはAさんを避けるようになりました。会話は必要最小限、仕事ぶりも以前のような一生懸命さがなくなり「怒られなければいい」という投げやりなものに。
変わらずAさんが指導やアドバイスを行うと、良い返事を返すものの聞く気はなく、その後改善は見られません。
その点を指摘すると逃げてしまい、まともに叱ることもままならなくなってしまいました。Bさん自身の成長に繋がればと思い、厳しく叱ってきたAさんでしたが、今後はどのような方法で指導していけば良いのか悩んでいます。
「怒る」と「叱る」は違うことを知り、冷静な状態で叱る
カッとなっても
NLPのスキルで望ましい状態に変化できる
似たような行動でも「怒る」と「叱る」は異なるものです。「怒る」のは自分の感情を相手にぶつける側面が強く、指導や教育としての効果は弱くなります。
「叱る」は、相手を良い方向へ導くための行動。後輩や部下を成長させるためにあえて問題点を気付かせることが目的ならば、相手に伝わる言葉で叱ることが大切です。
Aさんの場合、後輩の至らない点に多く気付いていたことと、後輩から「成長したいから、ちゃんと叱ってほしい」という言葉を受けて、厳しく指導することにしました。
言いにくいことも指摘するという勇気の必要な選択をしたAさんは、後輩思いの素晴らしい先輩だと言えるでしょう。
しかし、後輩のBさんに怒鳴りつけたのは、「叱る」ではなく「怒る」にあたる行動。無意識の内に「もっと早い段階で相談できたのでは?」「飲み会の予定が潰れた」という怒りが大きく働き、怒ってしまったのでしょう。
ビジネスシーンにおいて、自分の感情に左右されて失敗することは多々あります。
怒りや悲しみ…冷静さを失わせるネガティブな感情から一瞬で解き放たれてフラットな状態で指導するためには、NLPで自分を望ましい状態に変化させることが効果的です。
一瞬で冷静・穏やかな状態になるスキル
「アンカリング」
怒りや面倒な気持ちなど、ネガティブな感情は抑えたいと思っても自然と生まれます。
NLPの「アンカリング」というスキルを使うと、それらのネガティブな感情に支配されている状態から、一瞬で望ましい状態へと変化することが可能です。
アンカリングとは、信号が赤になったら足を止めたり、レモンを見た時に唾液が出たりと自然と引き出される行動を指します。
五感で受け取った情報(刺激)を反応(感情)と結びつけるもの。反応を導くためのトリガーとなる赤信号やレモンのような刺激によって引き出される行動を自分の中にプログラムしておくと、トリガーをきっかけに望ましい状態へのスイッチを自分の判断で押せるようになります。
トリガーはなんでも構いません。普段はあまり触らない体の部位を触る、親指と薬指の先をくっつけるなど、自分の好きなトリガーを決めておいて怒鳴る寸前に実行すると、望ましい状態に引き出されます。怒りを鎮めるためにアンカリングを行うのであれば、冷静・穏やかな状態へと瞬時に変化することが可能です。
魔法のようなスキルですが、事前にスイッチを作っておくことが大切。仕事の中でアンカリングを成功させるためには、事前に練習が必要です。
叱った内容をきちんと反省・改善してもらうための大前提はラポール
会話のペースを相手に合わせると
ラポール(信頼関係)が築ける
後輩や部下に、問題や改善してほしい点を知ってもらうために叱ることは大切です。しかし相手に改善が見られない場合、叱った内容が伝わっていないのかもしれません。
相手への伝わり方の感度は、信頼関係が築けているかどうかで大きく異なります。NLPにおいては「ラポール」と呼ばれており、目の前の相手と分かり合うために築き上げる必要があるもの。
相手に親しみやすさや安心感を覚えると、出会ってすぐの状態でもラポールを築けます。
ラポールを築くためには複数のスキルを使いますが、最初は相手の話す調子やしぐさなどをよく観察する「キャリブレーション」から開始。
会話を通して相手の声の高さや話す速度、どのようなクセを持っているのかをさり気なく確認します。その次のステップは、キャリブレーションでわかった相手の様子に自分も合わせる「ペーシング」。猿まねではなくでも、あくまでも近づけるだけです。
趣味や考え方が違う相手でも、この2つのスキルを使うことによってお互いの共通点が生まれるため、安心感を抱くように。好印象を持ってもらうことで、ラポールを構築できるのです。Aさんの場合は怒鳴った後から叱っても声をかけても反応が得られなくなったのは、ラポールが充分に構築できていなかったためだと考えられます。
後輩をより望ましい状態へ導く高度な
スキル・リーディング
Aさんが叱る目的は、まだまだ社会人として足りていない部分もある後輩のBさんを成長させるためです。
相手をより良い方向へ導くにも、NLPのスキルが役立ちます。ラポールが構築できた後に役立つのが「リーディング」というスキル。
相手を望ましい方向へリードするためには、「オープンクエスチョン」と呼ばれる「はい」「いいえ」では答えられない質問を行います。
例えば「仕事は進んでいますか?」という質問では、Bさんは「はい」としか答えません。
「進み具合はどのような感じですか?」「どのようにして納期までに間に合わせますか?」という質問であれば、後輩のBさんは詳しく知ってもらうために、手段や期間など細かな情報を織り交ぜながら自分なりに答えます。相手から得られる情報が「はい」「いいえ」だけの質問よりも格段に多くなるので、会話が広がりやすいテクニックです。
Bさんの返答を受けて、「無理」「苦しい」という否定的な表現を使わないことも、リーディングのポイント。
Bさんに、納期に間に合うような仕事の進め方をしてもらいたいなら、「他の人に手伝ってもらうと、早く終わりますよ」と肯定文で返すと、Bさんに「そういう進め方もあるのだ」と伝わりやすくなります。。
ネットや書籍だけでは
実践できない職場に役立つNLP講座の選び方


それぞれの対人関係の解消はたしかに、NLPのメソッドで解消できますが、頭でわかっていてもなかなか実践できないもの。 そこで役立てたいのが、多様な職種、さまざまな年代がいる講座で実践的に学ぶこと。オススメ講座や選び方を紹介します。