相手を観察するキャリブレーション
対人関係に、自分の感情のコントロールに役立つ
NLPメソッド大公開
キャリブレーションで相手の様子を把握しよう
- 相手の表情やしぐさ、体の動きなど、外見的な特徴から相手の状況を読み取ることができる。
- 声の大きさや高さ、速さなど、話す声によって、言葉とは異なる相手の感情を把握することができる。
- 相手の体温や握手したときの感じから、相手の体調や心理状態を感じ取ることができる。
相手の表情やしぐさを観察するキャリブレーション
キャリブレーション
キャリブレーションとは、相手の言葉にはでてこない表情やしぐさといった様子から、相手が本当に考えていることを感じ取ることです。相手の状態を知ることはコミュニケーションにおいても非常に重要なこと。特に次の3つの要素から、相手の状況を見極めることができます。
・見てわかる情報
・聞いてわかる情報
・感じてわかる情報
それぞれ詳しく見てみましょう。
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話をするときには見てわかる情報に着目しよう
見てわかる情報とは見てわかる情報とは、具体的には表情や手の動き、足の動き、腕組み、足組み、頭の角度、うなずき、顔の向き、顔色、まばたき、目線、口の形、汗などです。
人間、言葉では本当のことを言わなくても、こうした外見に感情が無意識に表れていることがあります。
例えば腕組みをしている人は無意識のうちに「自分を守りたい」という心理が働いています。相手が腕組みをしながら話しているのは、自分に警戒心をもっていて信頼していないことの表れと言えます。
考え込んでいてあまり理解ができていない、あるいは納得いっていないときは頭を横に傾ける、緊張しているときは目線をそらすなど、見てわかる情報はたくさんあります。
キャリブレーションで相手のしぐさを観察することで、相手の本当の感情を推測することが可能なのです。 -
聞いてわかる情報
聞いてわかる情報とは聞いてわかる情報としては、声の大きさやスピード、高さ、速度などです。例えば相手が体調が悪そうにしていて、「大丈夫?」と声をかけたときに「大丈夫…」と小さく、低く答えた場合は、本当は体調が悪くても気を使って「大丈夫」と答えていると考えられます。
また、「わかりました」と返事があっても、自信なさげに小さな声だった場合は、話を理解していない可能性もあります。「怒ってないよ!」といつもより低い声で言われたときには、内心怒っていることも。
このように、言葉だけでなく、声そのものに関しても注意を払うことで、相手の本音を感じ取ることができます。 -
感じてわかる情報
感じてわかる情報とは相手の体温、握手した感じ、匂いなどでも相手の状況を把握することができます。
握手したときに相手の手が汗で湿っていると、緊張していることが推測できます。
「大丈夫」と口では言いつつも、相手のおでこに手を当ててみると体温が上がっていたら、熱がでていて体調がかなり悪いことが予想されます。
この感じてわかる情報は見てわかる情報、聞いてわかる情報と異なり、相手に触れる必要があるので、2つの情報と比べるとなかなかわかりにくい情報と言えます。
職場で役立つ
キャリブレーション


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上司の納得いっていない感情を察した事例
資料作成をしていたAさん。上司のBさんに完成した資料を渡すと「問題ないよ」のひとこと。でも、眉間にしわをよせて、少し頭を傾けていました。言葉通りに捉えるなら、ここで提出して終わりですが、AさんはBさんの表情やしぐさから、自分が作った資料にBさんが満足していないことを察しました。
そこで、資料を作り直してBさんに再度提出すると、今度はさっきの表情とは一変して笑顔で、「手直ししようと思ったけど、これならカンペキだね」と言われました。
相手の表情やしぐさを見極めることで、相手が本当に納得しているのかどうかを知ることができるのです。 -
退職を考えていた部下を引き止めた事例
なんとなく表情も暗くて、声のトーンもいつもより低くて小さいCさん。上司のDさんはその様子から、Cさんに話を聞いてみることにしました。
最初は「なんでもないです」と答えたCさんですが、Dさんは「そうかな?元気なさそうだけど。悩みがあったら言ってごらん」と根気よく話し続けたところ、Cさんは仕事で悩んでいて会社を辞めようとしていたことを打ち明けました。
DさんがCさんの様子に気づかず、話をしていなかったらCさんは悩みを引きずり続けたまま会社を辞めていたかもしれません。 -
部下の緊張に気付いてあげられた事例
大切な商談を控えたEさんと、その部下のFさん。商談の当日朝、最終的なチェックを入れるために2人でミーティングをしていると、Fさんがいつもより声が小さく、そして小さなため息をたくさんしていることに、Eさんは気付きました。どうしたのか尋ねると、Fさん本人は「大丈夫です」と言います。
ミーティングを続けながら、しばらくEさんがFさんの様子を観察していると、まばたきが多かったり、メモをとる手が少し震えていたりと、とても緊張している時の特徴が出ていました。さりげなくEさんがFさんに確認してみると、Fさんは多人数で話すことが特に苦手なタイプだったのです。
今回の商談は人前で自社製品について発表・説明するシーンがあるため、朝からかなり緊張していて体調が良くないとのこと。Eさんに迷惑をかけてはいけないと思い、気を使って言えなかったようでした。
そこでEさんは、Fさんの緊張が解けるよう、「自分がしっかりとバックアップすること」、「どうしてもダメそうなら今回は自分が役回りを代わってあげられること」を伝えたところ、Fさんは少し落ち着いた様子を見せました。本人の「大丈夫」という言葉を鵜呑みにせずしっかりと観察したことで、よりよいコンディションに持って行ってあげることができました。
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コミュニケーション能力を上げることができた事例
Gさんは以前から、「変わっている」や「独特な感じ」というようなことを周りから言われていました。Gさん本人はそれをちょっとしたほめ言葉だと思っていたのですが、とある取引先で「空気が読めない人」と陰口を言われていることを知ってしまったのです。
仲のいい同僚に相談したところ、「ちょっとした一言で、相手を不快にさせていることに、Gさん自身が気付いていない時が多い」と指摘してくれました。Gさんは昔から人の気分を読み取ることが苦手なところがあったため、そこを改善したいと思い、NLPのキャリブレーションについて調べました。
Gさんは、「言葉通りに物事を受け取らずその裏を読む」ということはとても不得意でしたが、「物事を言葉どおりに受け取るだけではなく、相手の様子を観察して本心を読む」ことはできそうでした。そこで、相手の声のトーンや仕草などで会話がうまくいっているのかどうかをチェックする癖をつけてみたのです。その結果、相手の気持ちや様子をうかがうことが苦手ではなくなり、円滑なコミュニケーションを取れるようになりました。
- 言葉とは異なる本心は、相手のしぐさや表情などに表れる
- 相手を観察・観測して様子や状態をはかることが、キャリブレーションというテクニック
- 見てわかる情報、聞いてわかる情報、感じてわかる情報を観察する
キャリブレーションとは、NLPにおいては「観察」や「観測」という意味を持ちます。目の動きや声のトーン、体の使い方など、さまざまな様子を観察し、相手の様子をさぐるテクニックです。相手の様子を把握できることは、ビジネスシーンにおいてとても有用なスキルになります。
効果的にNLPを学べる
講座の選び方


キャリブレーションは、NLP(神経言語プログラミング)のテクニックの1つです。NLPは「実践心理学」や「脳の取扱説明書」とも呼ばれる非常に役立つツールです。NLPはネットや書籍などで学ぶことも十分可能ですが、やはり対人で実践することができる講座のほうがより効率的です。興味を持った、もっと深く学びたいと感じたら、講座を受講することがおすすめ。なかでもより効果的に学べる多様な年齢層や職種の人のいる講座をどういう基準で選ぶのか?おすすめの講座はどれか?などを紹介します。